Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(一) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 246.214 Zeichen · 495 Bildschirme
ぶらり駒
それには、先頃の正中ノ変も、極力、小範囲にすませ、これ以上の不安を世間にかりたてるべきでない。
幕府方針は、現地の六波羅とは逆に、そういう方向のもとにその年を越えたのだった。
――がしかし、日野資朝、俊基の処分までを、いつまで延ばしているわけにもゆかない。
正中二年五月となって、やっと、その裁断は下された。
日野資朝の身は、死罪一等を減じて、佐渡ヶ島へ遠流――。一方の俊基朝臣は、
「あきらかな証拠もなし、その身分も一蔵人に過ぎぬ者なれば」
と、赦免の上、身柄は都返しと沙汰された。
もっとも、この処置が一般にまで知れ渡ったのは、夏も終りごろで、すべては誰も知らないまに、執り行われていたのだった。
それだけに、事後にこれを聞いた人々は、
「ちと、ご偏頗な」
と、首をかしげ、特に、武者所のうちには、
「一方は遠流。なのに、一方を無罪とは」
と、それに不満な声もなくはなかった。
けれど、主脳者の高等政策と、武力主義の武者所との意見の相違は、これにかぎらず、毎々のことだった。で、まもなく今度の不平も、いつか忘れられていた。
その武者所への出仕を、高氏はここ一年ほど、黙々と、精励していた。