Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(一) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 246.214 Zeichen · 495 Bildschirme
「なに、佐々木から」
取次を措いて、そこの三名は、顔を見あわせた。
高氏には、いつぞやの途上の彼が、あの折の後味のまま、すぐ思い出されたことらしい。
また、父貞氏や憲房にしても、それぞれが、道誉という人物にたいしては、かねて特異な感情と、警戒をいだいていた。――すべては、まだ足利家の曹司(部屋住み)高氏にすぎない巣の雛鳥をあやぶむ年上たちの庇護の愛情に似たものだった。
「取次の者」
憲房が向き直って訊ねた。
「――諸家から祝言のよろこびもまいるが、女使者とは、異な使いではないか。佐々木家の者に違いないのか」
「相違ございません。巻絹十疋、砂金一嚢、酒一荷、大鯛一台などの品々を供に担わせて、そのお使者は、女輿を中門で降り、色代うやうやしげに――若殿さま御婚礼のお祝いに、佐々木道誉の名代として遣わされました者――と、たしかな御口上なので」
「はて。名は」
「女性なので、わざとお訊ねは、さしひかえましたが」
「では、佐々木が局の女房でもあろうか」
「いや、どこやら艶かしい水干衣立烏帽子という粧い、あるいは、特に御贔屓の白拍子かもしれませぬ」
「はははは。白拍子を祝言の使者によこすとは」