Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(一) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 246.214 Zeichen · 495 Bildschirme
「いってみろ、何かは知らぬが」
「置文のことです」
「……置文」
高氏の眼と共に、直義も辺りを見廻した。鎌倉中、谷々の甍や町屋根は、木の間遠く、ここらの小山小山も、秋の昼さがりを、からんとして、萩桔梗に、微風もなかった。
「いつか、鑁阿寺の御霊屋で、置文を御披見なされた折、兄者人は、その場で、あれを焼きすてておしまいなされた。……けれど、祖先家時公の御遺言は、かえって、お胸のうちに、不滅となって封じられたものだと、私も信じ、その後、右馬介も同様な心でおりました」
「…………」
「ところが、まもなく、北条一族たる赤橋殿の妹君を、お娶いになると聞いては、兄者人の御真意も、わからなくなりました。政略結婚、よくある手です。でも、置文を見て、涙をそそいだ兄者人。……よも小さい栄耀に眼がくらんで、北条方の籠絡に乗るはずもなし、或いは、などと」
「わからぬというのか。兄の本心が」
「正直、不安でなりません。いつのまにか、御変心ではあるまいかと」
「ばかだなあ、おぬしは」
「直義の疑いが、馬鹿げていたら、本望ですが」
「弟……。明日の夜わかるよ。まず、おぬしにとっても嫂となる花嫁の登子を見てくれい。