Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(一)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(一) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 246.214 Zeichen · 495 Bildschirme

Aozora Bunko

「……そうだ。都に行けば」

彼女の思案は傾いた。

都でなら、武門の蔭に頼らなくてもすむし、覚一が天性好む琵琶や芸術の道へいそしむにも、何かにつけて便がよい。

「この子をだに、つつがなく成人させて、弓矢ならぬ芸道に生きる道をつけてやれば、それで、亡き良人への、自分の御供養はすむというもの」

思いさだめて、草心尼は、ついにその場で子の覚一へ約束した。――この鎌倉まで来ている機を幸いに、高氏どのの華燭のお祝いがすみ次第、なんぞよい口実をもうけて、ここから都へ上ることにしようぞ……と。

覚一は、狂喜した。

――こんなにも、それを望んでいやッたのかと、彼女が涙ぐまれるほどに。

「お母あさま。そう伺ったら、もう何だか、ここは鎌倉でもなく、都の隅で、今宵を二人で過ごしているような気がして来ます。……それにつけ、お師の禅師にお目にかかれば、師を離れている間、どうであったか、琵琶を持てと、さっそく試されるに相違ございません。こよいは、扇ヶ谷のお人々も留守、お母あさま、久しぶり、覚一の稽古をお聞きくださいますか」

「オオ、聴きましょう」

「幾つか、習うた平家ノ曲。その内のなにを語りましょうな。