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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(一)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(一) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 246.214 Zeichen · 495 Bildschirme

Aozora Bunko

……で、いッそ今、打割っていうわけだが」

「…………」

「幼少のとき、この高氏は、さる人相観から剣難の相があると予言されておる。ひょっとしたら、わしは戦場で仆れる宿命なのかもしれぬ。それでも、和御前はわしの妻として添うてゆけるか」

「なにを仰せかと思えば」

と、登子はむしろ、ほっとした笑みを持って。

「武門誰とて、何事もなく一生過ごせるものとしておりましょう。武人に剣難の相があるのは、あたりまえです。嫁ぐ前から身にいいきかせておりまする」

「そうか。覚悟してか」

高氏は、言ったが、改まった面持ちは、なお解くような容子もない。まだ、まことの契りは結ばない二つの枕は、伽羅もむなしく、他人のように行儀よく閨に並んだままなのである。

「したが登子、それだけの覚悟で添うには、なお足らぬこの男かもしれぬぞ。古来、弓矢の修羅道では、伯父甥にして、敵とよびあい、兄弟父子の間ですら、ぜひなく裂かれて、敵味方の陣にわかれることもある」

「…………」

「たとえば保元、平治ノ乱、以後の大小の合戦にも、そのような例は、幾多であろう。かぞえてもかぞえきれまい。さればもし、この高氏が、かりに北条殿に弓を引き、そなたの兄、守時殿をも、敵とせねばならぬ日があったとしたら……そなた……そのときは、何とするか」