Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(一) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 246.214 Zeichen · 495 Bildschirme
「ともあれ、姉ぎみ。……いつまで、ここにいるわけにはなりませぬ。直義も手を貸しましょう。兄上を起してください」
すると、寝ていたはずの高氏が、むっくり起きて、体の上の裲襠を、登子へ返した。
「弟。案じて来てくれたのか」
「ヤ、お眼ざめだったので」
「よいここちで、そこの話を、遠くのように聞いていた。宵は地獄、深夜は極楽。いや、今日一日はおもしろかったな」
「大杯また大杯と、御辞退もせず、おかさねになられた由。なかなか、まだ酔いはお醒めになりますまい。……さ、直義の肩におつかまりください」
「つかまって、どうするのか」
「はや夜半。ともあれ、御帰邸なされては」
「ま、待て。……高氏、大酔はしたが、性を失ったとは思わぬ。何をやったかも覚えておる。半分は酒のしわざ、半分はこの身の本性……」
「何ンたる沙汰。お物狂いの果て、執権どのにも、御重態とか」
「あわてるな。はははは、御発作にすぎまいぞ。十日もお臥せりになれば、またケロリとなされるに違いない。そうまいらぬのが、お薙刀の先にかかって怪我をした田楽役者や近習たちだ」
「まさか、兄上には」
「だいじょうぶ。酒乱はしても、狂乱はしていない。