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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(一)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(一) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 246.214 Zeichen · 495 Bildschirme

Aozora Bunko

聞き終ってからも、頼春と菊王とは、まだ自分自分の想像を加えた感慨に、何やらくるまれている風だった。

「かかる山奥に」

という菊王に、頼春も、

「げに、人はどこにも住むものではある」

と、あらためて、屋の後ろの岩湧山や、前面の金剛、葛城の峰々を見まわした。

二人にすれば、加賀田の隠者、毛利時親をここで知ったのは、一つの大きな発見だった。また密かには、有力なる宮方お味方を見出したことともしていたにちがいない。

「が、正季どの」

頼春は、なお糺した。

「さまざま伺って、お師(時親)の前身やお人柄のほどもよく分りましたが、しかし、はや世に亡いお方とはいえ、御内室は、鎌倉の執権代長崎高資の御一族でおわせられるとか。……さすれば、北条氏とは深いおん仲。それがどうして、薄々にも、宮方と分っている近郷の若武士どもから、師と慕われておいでなのか。その辺、ちと、いぶかしゅう思われますが」

「ごもっともだ」

正季は、みじんも、疑っていないらしい。

「昨日今日のお住居なら、土地の者も、めったに心はゆるさぬが、この加賀田に隠れ住んでからも、はや二十年余りにもなる毛利殿だ。――北条家との縁故などは、とうに薄れ去っておるし、日ごろのお口ぶりからも、鎌倉の悪政には、事ごと、お憤りをもらしておられる」