Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(一) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 246.214 Zeichen · 495 Bildschirme
じつはまだ肉体的にも、この饗応を自分中心に受けて、辺りの歓と溶け合えないでいるらしい。
むりもなかった。
――先刻、黄昏れすぎて、奥庭のあの茶堂から、やっと出て来たときには、まさに、虎口をのがれたという気がしたほどだった。――喫茶にことよせて、道誉と左近から、秘中の秘事を、うちあけられた末、
「応か否か」
「いざ、御真意をもらし給え」
と、その二人に、にじり寄られた時の恐さ。そして、一瞬のためらいもゆるされない中におかれた自分の総毛立ッた体を高氏は生涯忘れることはできまい。
だが、彼の生れつきな妙につかみどころのない風貌は、そんな二人の眼光を無反応なものにして、自己を茫漠としておくには、甚だ都合のいいものだった。
「……さ、なにぶんにも、自分はまだ曹司(部屋住み)の身」
というを口実に。
「父貞氏と意見が割れては、家中もまとまらず、わるくすれば鎌倉へ洩れる惧れもある。それを思えば、日野殿(蔵人)との御密談も足利の地においてうけたまわりたい。他日もしお微行の御東下あらば、父をも加え、いかようにも計らわん」
ふしぎにも、すらすらと口に出たのである。言い抜けらしい苦渋は見えぬせいか、道誉も左近も「……では」