Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(一) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 246.214 Zeichen · 495 Bildschirme
まるで仮面のような」
「酒のせいだ。いや酒だけでもない」高氏はじぶんを呪うような語気で――「こよいに限って、こんな深酔いしたのも、藤夜叉、そなたが、いけないからだ」
「あら、なぜでございますか」
「いえない」
胸を空けて、待つとない悶えをしめすと、とっさに、どういう小むすめの気安さが、その彼に見えすいたのか、藤夜叉の方から寄りすがって、ひたと甘えた。
「仰ッしゃってくださいませ。どうして、わたしが。……イヤ、イヤ。仰っしゃって下さらなければ」
「わからぬか」
「きっと、道誉さまの御酒宴で、わたしまでが、余りにお杯をすすめたからと」
「ちがう」
つよく顔を振って。
「そなたは、もしや……」
黒髪ぐるみ彼女の顔を両腕の中に容れてじっとまた見た。もう藤夜叉もじぶんを見入る異様な眉間の陽炎にもなんの恐怖も抱いてはいない。――そして、舞台ではいとど可憐に思われた小柄な姿も、その黒髪のいただきは、ちょうど高氏の唇をかくすほどな背丈はあった。
しかも素顔は、なおどこか大人びてもいた。腮や頬はくりっとしていて、全体には棗形だが、ただ美貌だけの人形美でもない。野葡萄のような眸は、これを男に濡れさせてみたくなるばかりな蠱惑をひそめ、なにかに渇いているらしい唇がその口紅を黒ずませて烈しい動悸に耐えている。