Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(五) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 252.330 Zeichen · 505 Bildschirme
高氏はつぶやいた。
「虫がいいのは彼らの方ではあるまい。……さての」
一ト思案してから。
「洛民のうちでも、悪徒なんどのしぶとい奴は、わがもの顔に元の巣にいる。山野に伏して元の屋根を恋しがっているのはなべて良民だ。長く憂き目を見させてはおけまい。――師直」
「は」
「申し渡してやれ。安心してみな洛内へもどるがよいと。そして何事によれ、訴え事は六波羅へ持って来い。また夜昼の物騒も、われらが守ってつかわすゆえ、一日も早くそれぞれの職や商いに励むがよい、と」
「大事ございますまいか」
「いくさは地ならし、それがわれらの耕作というものだ。それすらが出来なんだら、いくさはしない方がいい」
師直が去って、その旨を代表らへつたえてやると、法師、医者、町長など交ぜた一ト群れの市民は、はるかから高氏の床几の方へ、低い礼を見せながら、庁の一門を出て行った。
高氏は、即日、六波羅内に、
奉行所
を、設置した。六波羅奉行所とは、称えなかった。みゆるしにも職制にもよらず、占領下さっそくな行政の一役所として私に設けたものであったからである。けれど北条氏百数十年らいの六波羅政庁の陥落は、即、無政府状態を発生していたことなので、