Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.598 Zeichen · 254 Bildschirme
も、「放ッておけ」も、じつは非情につつんだ愛情にほかならないものだった。
ところが、――今。
爺の恩智左近がいうのを聞けば、妹夫婦は、過ぐる雨乞いの夜から、正季の龍泉の屋敷奥に、ひそかに、かくまわれている、とある。
「……ああ、ついに来たか」
むりもない。そう思う。
ふるさとだ。妹にとっても、ここは生れた山河なのだ。さすらいの果ては、来ずにはいられまい。
――ついそこの、渓川に遊び跳ねている童の群れを見るにつけ、その中に、妹の幼い頃の姿もあるように……正成の瞼は、遠い過去を、描いていた。
「……左近」
「はっ」
「そして、正季は、妹夫婦を、あくまで匿う所存なのか、どうなのだ」
「さ、そこを、どうしたものか、伺うてくれとの御意でございました。一族の長たる兄君のおさしずによらねばと」
「わしにか」
正成は、辛さの余り、知れきッている立場なのに、そう反問した。――窮鳥、懐ニ入レバ猟師モ撃タズ――そんな古い言葉も、今の彼には切実だった。
千早川の裸の子らも、蝙蝠に気がつくと、みな上の灯を見て崖を這い上がっていた。
夕まぢか。正成はまた、客と会っていた。
同族の南江正忠、松尾季綱、橋本正安など、いずれも、近村に住む縁者どもで、