Japanische Klassiker mit Furigana
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かがりびのおんな
篝火の女
吉川 英治
Lesen Sie 篝火の女 (かがりびのおんな) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.727 Zeichen · 56 Bildschirme
て参っただけの事です。――例えば』
と、乱波者の石田大七に、眼をやって、
『それにおる大七が、初めに、小田原の城下へ入りこまれた折も、すでに、奉行所の目付たちは、挙動をあやしと見ていたのでござる。万一にも、大七の携えてきた三郎進殿の密書が、余人の手に入ったら、八雲様は、即日に殿より首級を召されよう。そう考えて、自分が捕えた。又、萩乃を召捕ったのも同じ考えであったし、八雲様の邸へ、捕手を向けたのも、この熊楠に相違ないのです』
『まだようわからぬ、それ程、この身を庇うてくれるおん身が、なぜ、捕手を使嗾して、私を苦しめたのですか』
『その夜の事、お覚えはもうないか。――捕手のかかる少し前に、お邸の窓下を、編笠かぶって、それとなく謎ことばを、謡曲声にまぎらして、お告げして行った侍のあったことを』
『あっ……。ではあの編笠の人は、熊楠、おん身だったのですか』
『又、萩乃には、出陣の混雑を、幸に、牢の前へ、わざと、短刀をすてておいた。――そして、かねて、自分の屋敷にかくしておいた石田大七を、巧みに貌容を化装させ、外郎売に仕立てて萩乃の身をまもらせたのも某の策。――その他、いちいちは申しあげぬ。