Japanische Klassiker mit Furigana
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かがりびのおんな
篝火の女
吉川 英治
Lesen Sie 篝火の女 (かがりびのおんな) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.727 Zeichen · 56 Bildschirme
みだれ世の赤縁
彼女の父は、舞楽にも嗜みのある人だったので、すぐ、
(これは――)
と眼をつけて買い求めた。琉球朱で赤く塗ってあって、銘には、「杜鵑管」と、金の針金を象篏したように、細く小さく記してあった。
(いずれ、由緒ある若武者か、氏のよい公達かが鍾愛したものにちがいない)
彼女の父はそう云った。
そして、加茂の流れに近い旅舎で、彼女にそれを吹けと云った。八雲は、興に乗って吹いた、その折、侍女の萩乃もそばに居てそれを聞いていた筈なのである。
みだれ世の赤縁
すると――
その名笛が、縁になって、同じ旅舎に泊っていた越後の士と懇意になった。身分は、その士のほうが高いくらいであった。卑しくない父子なのである。
(てまえは、春日山の上杉弾正少弼謙信の家来、安中越前守長房、これなるは伜の三郎進と申すもので)
と、その父子は名乗った。
安中父子は又、
(主人謙信より申し遣わされて来た菊亭右大臣家の御用もはや済みましたので、この数日を、都見物にくらして居るところです)
とも話した。
縁というものであろう。それからの七日ほどを、この父子と父娘とが、打ちつれて洛中洛外の名所あるきをしている間に、北条家の東郷五郎左衛門と、上杉家の安中越前とは、すっかり気心が合って、