Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 194.628 Zeichen · 371 Bildschirme
二十四
「難儀やわ」
とばかり云っていた。
二十四
いったい妙子が職業婦人の実力と資格を身に付けたがっている真の理由は、何処にあるのであろうか。もし当人の云う通り、今もなお奥畑と結婚することを望んでいるなら、それとこれとは両立しないのではあるまいか。当人に云わせると、啓ちゃんのような甲斐性なしに連れ添うのには、もしもの時に自分が夫を食べさせる用意が必要だから、と云うのだけれども、奥畑はあの通り何不足ない若旦那の身分で、食うに困るなんと云うことは、それこそほんとうに「もしもの時」である。そんな薄弱な理由で洋裁を習いたがったり、洋行したがったりするのはどうも不自然で、それよりは愛する人と新家庭を持つ日が早く来るようにと、願わねばならないところであろう。昔から早熟で、老成した、用心深い一面を持つ妙子のことであるから、結婚するのにも先の先まで考えて準備して置くと云うことは分るが、それにしても何となく腑に落ちかねる点がある。―――そう云う風に考えて来ると、幸子はいつかも感じたこと、つまり、妙子の真意は奥畑を嫌って、体よく彼との結婚を解消したいのではないのか、そして洋行はその第一歩であり、職業婦人になることは、奥畑と切れた後の処世の手段なのではないか、と云う疑いが再び濃くなって来るのであった。