Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 226.715 Zeichen · 431 Bildschirme
「お母ちゃんは何で洋服着て来なんだの」
と云った。
「ほんに、洋服にしたかってんけど、べべでなかったら失礼やないか思うたさかいに」
「ふうん、―――」
と云ったが、彼女はそれでも合点出来ない面持で、
「何で、お母ちゃん」
「何でて、―――田舎の年寄の人云うたら、そう云うことがやかましいさかいに、―――」
「今日何ぞあるのんと違う?」
「何でえな。―――今日は蛍狩に行くのやありませんか」
「そうかて、蛍狩にしたら、お母ちゃんも、姉ちゃんも、えらいおめかししてるやないの」
「悦ちゃん、蛍狩云うたらな、―――」
と、妙子が助け船を出した。
「ほら、よう絵に画いてあるやろ、―――お姫様が大勢腰元を連れはって、長い振袖のべべを着て、こう云う風に」
と、ちょっと手つきをして見せながら、
「―――団扇を持って、池の周りや土橋の上で蛍を追い駈けてはるやないの。蛍狩云うたら、ああ云う風に友禅のべべを着て、しゃなりしゃなりして行かなんだら気分が出えへんねん」
「そしたら、こいちゃんは」
「こいちゃんは今時分に着る余所行きのべべがないねんもん。今日は姉ちゃんがお姫様で、こいちゃんはモダーンガールの腰元や」