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Japanische Klassiker mit Furigana

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ささめゆき

細雪

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 226.715 Zeichen · 431 Bildschirme

Aozora Bunko

………」

幸子がそう云って、首を振ったり手を挙げたりすると、凸面鏡の中の彼女も遥かな所で首を振ったり手を挙げたりする。その映像で見ると、彼女は水晶の珠の中に棲む妖精か、竜宮の姫君か、王宮の王妃のようにも見えるのであった。

貞之助は妻のそう云う子供じみた所作に何年ぶりかで接した気がしたが、夫婦は云わず語らずのうちに、もう十何年前になる新婚旅行当時の気分に復っていた。そう云えばあの時は宮の下のフジヤホテルに泊り、翌日蘆の湖畔をドライヴしたりしたので、環境の類似が自ら二人を昔の世界へ呼び戻したのであったかも知れない。

「これから時々こんな旅行しましょうな」

と、その晩幸子は夫の耳に囁いたが、貞之助もそれに異存はなかった。でも、寝物語の末には現実の世界にも触れ、娘や妹たちの噂も出たが、幸子は夫のこんなにも機嫌のよい折を逸してはと思い、妙子の話をそっと持ち出して、一遍あなたも会うてやってくれるように、と云うと、ふん、それは僕かて分っている、と、夫は直ぐ承知して、僕はこいさんに少し強う当り過ぎた、ああ云う人はあまり厳しゅう扱うと、却って余計グレるようになるので、結局僕等が一層迷惑しなければならない、矢張これからは、なるたけ雪子ちゃんと差別待遇せん方がええやろな、と云ったりした。