Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 226.715 Zeichen · 431 Bildschirme
しまいに御牧は、白葡萄酒がなくて残念ですがお手並はよく存じていますよと、銚子を持って幸子と雪子の前に現れたが、彼女たちもさされれば敢て辞退せず、殊に雪子は、しゃんと体を固くして坐りながらよく飲んだ。そして相変らず黙ってニコニコほほ笑んでいるばかりであったが、それでも幸子は、この妹の眼が例になく興奮に輝いているのを看て取ったのであった。御牧は悦子が大人たちの中に交ってぼんやりしているのにも心を遣って、時々愛想を云いに来たが、その実悦子はそんなに手持無沙汰ではなかった。神経質な少女の癖で、こう云う時にいつも彼女は、何喰わぬ顔をしながら並み居る大人たちの一人々々のしぐさや、物云いや、表情や、衣裳持物などを、こまごまと観察したり研究したりしていたのであった。
八時頃に宴が終ると、貞之助たちが一番先に暇を告げたが、帰りは広親老人の計らいで七条駅まで自動車で直行した。それならあたしもと、岡本の叔父の所へ帰る光代も一緒に乗って行ったが、御牧も駅までお送りしましょうと、貞之助たちが止めるのも聴かずに、運転手台に乗った。車は三条通りを東に、烏丸通りを真っ直ぐ南へ下ったが、その間御牧はひどく上機嫌で、車の中に葉巻の匂を籠らせながらしゃべりつづけた。