Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 226.715 Zeichen · 431 Bildschirme
こんなことからいよいよ雪子は縁遠くなりはしないであろうか。………そう云っても、昨日はあれが特別に濃く出ていたのに加えて、光線だの位置だの角度だのが最悪の条件にあったからではないであろうか。………だが一つ確かなことは、もうこれからは今迄のような優越的態度を以て「見合い」することは出来ないのであった。………恐らくはこの次の機会にも、昨日のようにビクビクしながら相手の凝視に妹を晒さなければならないのであった。
妙子も、幸子が変に塞いでいるのが疲労のせいばかりでもなさそうなのを看て取って、何か考え込んでいたが、悦子が蛍籠へ水を遣りに立って行った隙に、
「昨日はどんな工合やった?………」
と、こっそり聞いた。幸子は物を云うのも億劫そうにしていたが、一二分もたった時分に、
「昨日は、えらいあっさり済んでしもうてん」
と、思い出したようにぽつんと云った。
「どうやろか今度は」
「さあ、………何せ来る時に、汽車が立ち往生したりしたよってにな。………」
幸子がそう云って又黙り込んでしまったので、妙子もそれきり追究しなかった。その晩帰宅してからも、幸子は夫に昨日の様子を一と通りは報告したけれども、不愉快な目に遭わされた数々のことについては、話せばもう一度その不愉快を夫婦で味わうようになるのが辛いので、委しくは云わないでしまった。