Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 226.715 Zeichen · 431 Bildschirme
の姉や彼女自身よりも格段に美しい清いものであった。尤もそれには、亡くなった時の周囲の状況や病気の状態などが大いに関係しているので、当時十五歳の少女であった幸子の眼には、母の姿が実際以上にすがすがしく映ったのでもあろう。肺病患者でも病勢が昂進して来ると醜く痩せて顔色が悪くなるのが多いけれども、母はその病気でありながら、臨終の際まで或る種のなまめかしさを失わなかった。顔色も白く透き徹るようになっただけで黝ずんでは来なかったし、体も、痩せ細ってはいたものの手足にしまいまで艶々しさが残っていた。母が病身になったのは、妙子を生むと間もなくだったらしいのであるが、最初は浜寺に、それから須磨に出養生をし、最後に、海岸は却ってよくないと云うことで、箕面に小さな家を借りて移ったのであった。幸子は母の晩年には、月に一二度ぐらいしか会いに行くことを許されず、それもなるべく短時間で辞去するようにさせられたので、家に戻っても浜辺の佗びしい波の音や松のひびきと母の面影とが一つになって、いつまでも、頭にこびり着いていたものであったが、そんなことから母と云うものを理想化して考えるようになり、その映像が思慕の対象になったのであろう。