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Japanische Klassiker mit Furigana

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おに

聴雨・蛍 織田作之助短篇集

織田 作之助

Lesen Sie 聴雨・蛍 織田作之助短篇集 (おに) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.483 Zeichen · 41 Bildschirme

Aozora Bunko

たいていは二流以下のまま死んで行く。自分もまたその一人かと、新吉の自嘲めいた感傷も、しかしふと遠い想いのように、放心の底をちらとよぎったに過ぎなかった。

ただ、ぼんやりと坐っていた。うとうとしていたのかも知れない。電車のはいって来た音も夢のように聴いていた。一瞬あたりが明るくなったので、はっと起ち上ろうとした。が、はいって来たのは宝塚行きの電車であった。新吉の待っているのは、大阪行きの電車だ。

がらんとしたその電車が行ってしまうと、向い側のプラットホームに人影が一つ蠢いていた。今降りたばかりの客であろう。女らしかった。そわそわとそのあたりを見廻しながら、改札口を出て暫く佇んでいたが、やがてまた引きかえして新吉の傍へ寄って来た。四十位のみすぼらしい女で、この寒いのに素足に藁草履をはいていた。げっそりと痩せて青ざめた顔に、落ちつきのない表情を泛べ乍ら、

「あのう、一寸おたずねしますが、荒神口はこの駅でしょうか」

「はあ――?」

「ここは荒神口でしょうか」

「いや、清荒神です、ここは」

新吉は鈍い電燈に照らされた駅名を指さした。

「この辺に荒神口という駅はないでしょうか」