Japanische Klassiker mit Furigana
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おに
聴雨・蛍 織田作之助短篇集
織田 作之助
Lesen Sie 聴雨・蛍 織田作之助短篇集 (おに) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.483 Zeichen · 41 Bildschirme
けちけち吸っていると、気がつまって書けないんだ」
「いっそ仕事をへらしたらどうだ。仕事をへらせば、煙草の量もへるだろう。仕事をしてもどうせ煙になるんだから、しない方がましだろう。百円の随筆を書くのに百円の煙草を煙にしては何にもならない」
そう理詰めに言うと、十吉は、
「それもそうだな」
と、ひとごとのように感心していたが、急に、
「あ、そうだ、煙草だけじゃない。たまに珈琲も飲む」
「砂糖がよく廻るね」
「闇屋が持って来るんだが、ない時はサッカリンを使う」
「煙草に砂糖、高いものばかしだ。少し贅沢じゃないかな」
「いや、贅沢といえば贅沢だが、しかしこりゃ僕の必需品なのだよ。珈琲はともかく、煙草がないと、一行も書けないんだからね。その代り、酒はやめた。酒は仕事の邪魔になるからね」
「仕事を大事にする気はわかるが、仕事のために高利貸に厄介になるというのも、時勢とはいいながら変な話だ。二千円ぐらい貯金があってもよさそうなものだ。随分映画なんかで稼いだんだろう」
「シナリオか。随分書いたが、情報局ではねられて許可にならなかったから、金はくれないんだ。余り催促すると、汚ないと思われるから黙っていたがね」