Japanische Klassiker mit Furigana
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おに
聴雨・蛍 織田作之助短篇集
織田 作之助
Lesen Sie 聴雨・蛍 織田作之助短篇集 (おに) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.483 Zeichen · 41 Bildschirme
「しかし、汚ないという評判だぜ。目下の者におごらせたりしたのじゃないかな」
「えっ」
解せぬという顔だったが、やがて、あ、そうかと想い出して、
「――いや、その積りはなかったんだが、はいってた筈の財布にうっかりはいっていなかったりはいっていても、雑誌社から来た為替だけだったりしてね、つい、立て替えさせてしまったんだね。――そうか、そんな風に思われているのか」
不思議そうな顔をしていた。
「へんな老婆心を出すようだが、料理屋なら話して為替で払えばいいじゃないか」
「そうも思ったんだが、実はその為替期間が切れて無効になってるんだよ」
「無効になるまで、放って置いたのか」
「忙しいから、つい……」
そういいわけをしていたが、だんだん聴いてみて、私は驚いた。
二
彼は大晦日の晩から元旦の朝へかけて徹夜で仕事をしなかった年は、ここ数年来一度もないという。それほど忙しいわけだが、しかしまた、それほど仕事にかけると熱心な男なのだ。
だから、仕事以外のことは何一つ考えようとしないし、また仕事に関係のないことは何一つしたがらない。そういう点になると、われながら呆れるくらい物ぐさである。