Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

ちゅうどく

聴雨・螢 織田作之助短篇集

織田 作之助

Lesen Sie 聴雨・螢 織田作之助短篇集 (ちゅうどく) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.162 Zeichen · 37 Bildschirme

Aozora Bunko

食って掛るような口調だった。そんな口調のかげには、かつて自分の稽古がきびし過ぎたために、弟子が寄りつかなくなったという想出の恨みが、籠っていた。「津路式教授法」を不当に扱って来た世間というものに対する反逆心も含まれていた。そしてまた、寿子がもし天才だけで現在のようになったとすれば、この数年間、自分が生活のすべてを犠牲にして来たことが無意味になるではないか、という気持もあった。彼はただ現在の寿子を、自分の音楽への情熱の化身と思いたかったのである。

しかし、こんな庄之助の言い方は、相手を気まずい気持にさせた。おまけに、相手が寿子の演奏会やレコード吹き込みの話を持ち出すと、庄之助は自分から演奏料の金額を言い出して、

「鐚一文かけても御免蒙りましょう」

と、一歩も譲らなかった。

それは、一少女の演奏料としては、相手を呆れさせる、というより、むしろ怒らせるに足る程の莫大な金額であった。

しかし、その金額や、その一歩も譲らない態度は、庄之助自身を不遇な音楽的境遇に陥れた楽壇への復讐であった。

そしてまた、楽壇の腐敗した空気に対する挑戦でもあった。かつての音楽家はつねにマネージャーやレコード会社の社員の言いなりになり、誇張していえば、餌食になっていた。