Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えんようき

艶妖記

山本 周五郎

Lesen Sie 艶妖記 (えんようき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.761 Zeichen · 38 Bildschirme

Aozora Bunko

「なあんですって」「さよう、なあんでしょう」

八百助はのっそりと立ち、うーんと大きく伸びをした。そのとたんである、なんと、瘤つきの背骨がまっすぐになり、跛の足が伸び、つぶれた片眼がぱっちりと明いた。次いで片手をさっと振ったと思うと、まるでかぶっていた物を脱ぐように頭から足までくるっと剥けた、見よ、もう茫髪も手足の垢も襤褸の着物もない、月代を青々と剃った秀麗な顔、みがきあげたような手足、綸子の着物に琥珀織の袴、腰には金飾りの脇差を差している、背丈は五尺七寸余り、年は二つ三つ長けて二十一二にみえるが、それこそ眼のさめるようなずばぬけた美男ぶりである。――客も主じも家娘も家妻も酒と博賭の好きな息子たちも、茫然、瞠然、愕然、恟然として声も出ない。八百助は「村の方がた」と静かに云った、

「私はまたこの村に住みます、家も建てるし土地も買い戻します、どうか以前どおり付き合ってください、ではお先に失礼、――乗物」

終わりの乗物という声にこたえてさっと襖があき、八人の若者が網代輿をかつぎ入れて来た、八百助はそれへ乗った、戸が閉まった、そして輿は上がり、静かに玄関のほうへ去っていった。