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Japanische Klassiker mit Furigana

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えんようき

艶妖記

山本 周五郎

Lesen Sie 艶妖記 (えんようき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.761 Zeichen · 38 Bildschirme

Aozora Bunko

「なるほど」八百助はこう云っている、

「それはどうも大変でしたね、世の中は一寸先が闇だと云うが本当ですね、ふむ、――しかしあなただけでも出られたのは結構でした」

「わたくしどうしたらよろしいでしょう」

嬢はこう云ってじっと相手を見た。もっとも彼女の眼はさっきから八百助の姿に吸着したままである。秀麗な眉、涼しく澄みとおった双眸、鼻も口も耳も頬も、雑作のすべてが選りぬきの資材と極上の磨きでととのえられている、しかも潤沢な水分と弾力精気に充満した肉躰、駘蕩としてしかも凛然典雅なる風格、どこを眺めても魅惑と牽引の種ならざるはない。――美男だわ、嬢はこう呟やいた。殿方の中の殿方、源氏の君も業平さまも及ばないおとこぶりだわ。そして火のような溜息をついたが、同時にその眼にも火がつき、息にも火がついた、

「ねえお聞かせくださいまし、おせんはどうしたらよろしいのでしょう、どうしたら」

「まず寝るんですな、眠りはすべての悲しみや苦しみを慰してくれますよ」

「眠りとうございますわ、このお家であなたのお側で」

ああなんと彼女はこう云って大胆にも膝を進めた、だが誤るなかれ諸君、嬢には嬢の道徳的論拠がある、