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Japanische Klassiker mit Furigana

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えんようき

艶妖記

山本 周五郎

Lesen Sie 艶妖記 (えんようき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.761 Zeichen · 38 Bildschirme

Aozora Bunko

「おい酒を持って来い、上等の酒のほうだぞ」

こうどなりだした。百日の秘結をいっぺんに下したような朗々寛々たる身構えになり、肥えた赭い髭面もにわかに活気を帯びてきた。酒肴の膳といっしょに強欲な妻女がまかり出て、砂地へ水の吸い込むごとく相談はすらすらと纒まった。要点を記すと、おせんが十八歳になったら八百助の嫁に迎えること、その結納として五百助から金千両、婚礼のときの支度金として金二千両、他に十年期限の無利子無証文で金二千両、合計五千両を提供するという条件であった。金一両の四分一、つまり銀十二匁が一分に当たる換算で、十四匁だせば米が一石も買えたという箆棒な世の中だから、五千両がどのくらいの値打か御想像が願いたい。――さて約束は定った、権右衛門どのは猿面冠者が太閤になったような大恐悦で、

「なにおせんの事なら決して懸念には及ばない」

と口から唾を飛ばしながら断言した、

「万一いやがるけぶりでも見せたら首へ繩を掛けてもつれてゆくさ、武藤の権右衛門は男だでのう」

契約は完了した。そして完了した契約は正確に実行された。すなわち約束の金は直ちに届けられ、明くる年の二月にはかための盃が取り交わされたのである。