Japanische Klassiker mit Furigana
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はなさかぬリラ
花咲かぬリラ
山本 周五郎
Lesen Sie 花咲かぬリラ (はなさかぬリラ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.378 Zeichen · 36 Bildschirme
杉浦の家は土地の豪家だと聞いていたが、予想したよりも大きな屋敷構えで、めぐらせてある白壁の土塀は方一町もありそうに見え、その中に亭々と杉の古木が森をなしていた。何百年かたっているであろう飾鋲を打った門を入ると手入れのゆき届いた前栽があり、武家のような式台のある表玄関と脇玄関とが並んでいる、来太は表玄関へいって立った。
「へえ」という間伸びのした返事が聞こえ、やがて袴を着けた白髪の、昔風に三太夫と呼びたい感じの老人が出て来た。――たいへんな格式だな、来太はそう思いながら自分の名と主人に会いたい旨を述べた。老人はいちど引っ込んで戻り「御用向きを」と、聞きとりにくい言葉で云った。
「用事はお会いしないと話せないことです」
「それではお眼にかかれぬと申しますが」
「なるほど」来太はうなずいた、「……では富美子さんのことでお話があると云ってください。それから僕が片町坂の吉村教授のゆかりの者だということも」
老人はややしばらくして引き返して来た。
「お気の毒ですが主人はいま多忙で、お眼にかかることはなりかねると申します」
「しかしそれはおかしいじゃないか」そう云いかけて来太は口を噤んだ、文句を云っても役にたたないと気がついたから、それでこんどは老人に向かってきいた、「……ではこれだけ聞かせてください、富美子さんは今お宅においで