Japanische Klassiker mit Furigana
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かつしかみやげ
荷風随筆集(上)
永井 荷風
Lesen Sie 荷風随筆集(上) (かつしかみやげ) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.224 Zeichen · 269 Bildschirme
昭和廿二年十月
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松杉椿のような冬樹が林をなした小高い岡の麓に、葛飾という京成電車の静な停車場がある。
線路の片側は千葉街道までつづいているらしい畠。片側は人の歩むだけの小径を残して、農家の生垣が柾木や槙、また木槿や南天燭の茂りをつらねている。夏冬ともに人の声よりも小鳥の囀る声が耳立つかと思われる。
生垣の間に荷車の通れる道がある。
道の片側は土地が高くなっていて、石段をひかえた寂しい寺や荒れ果てた神社があるが、数町にして道は二つに分れ、その一筋は岡の方へと昇るやや急な坂になり、他の一筋は低く水田の間を向に見える岡の方へと延長している。
この道の分れぎわに榎の大木が立っていて、その下に一片の石碑と、周囲に石を畳んだ一坪ほどの池がある。
今年の春、田家にさく梅花を探りに歩いていた時である。わたくしは古木と古碑との様子の何やらいわれがあるらしく、尋常の一里塚ではないような気がしたので、立寄って見ると、正面に「葛羅之井。」側面に「文化九年壬申三月建、本郷村中世話人惣四郎」と勒されていた。そしてその文字は楷書であるが何となく大田南畝の筆らしく思われたので、傍の溜り水にハンケチを濡し、石の面に選挙候補者の広告や何かの幾枚となく貼ってあるのを洗い落して見ると、案の定、蜀山人の筆で葛羅の井戸のいわれが