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Japanische Klassiker mit Furigana

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かつしかみやげ

荷風随筆集(上)

永井 荷風

Lesen Sie 荷風随筆集(上) (かつしかみやげ) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.224 Zeichen · 269 Bildschirme

Aozora Bunko

第六 水 附渡船

議論はよそう。皆様が御退屈だから。

第六 水 附渡船

仏蘭西人エミル・マンユの著書『都市美論』の興味ある事は既にわが随筆『大窪だより』の中に述べて置いた。エミル・マンユは都市に対する水の美を論ずる一章において、広く世界各国の都市とその河流及び江湾の審美的関係より、更に進んで運河沼沢噴水橋梁等の細節にわたってこれを説き、なおその足らざる処を補わんがために水流に映ずる市街燈火の美を論じている。

今試に東京の市街と水との審美的関係を考うるに、水は江戸時代より継続して今日においても東京の美観を保つ最も貴重なる要素となっている。陸路運輸の便を欠いていた江戸時代にあっては、天然の河流たる隅田川とこれに通ずる幾筋の運河とは、いうまでもなく江戸商業の生命であったが、それと共に都会の住民に対しては春秋四季の娯楽を与え、時に不朽の価値ある詩歌絵画をつくらしめた。しかるに東京の今日市内の水流は単に運輸のためのみとなり、全く伝来の審美的価値を失うに至った。隅田川はいうに及ばず神田のお茶の水本所の竪川を始め市中の水流は、最早や現代のわれわれには昔の人が船宿の桟橋から猪牙船に乗って山谷に通い柳島に遊び深川に戯れたような風流を許さず、また釣や網の娯楽をも与えなくなった。