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Japanische Klassiker mit Furigana

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かつしかみやげ

荷風随筆集(上)

永井 荷風

Lesen Sie 荷風随筆集(上) (かつしかみやげ) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.224 Zeichen · 269 Bildschirme

Aozora Bunko

やはりその時分の話である。築地の河岸の船宿から四梃艪のボオトを借りて遠く千住の方まで漕ぎ上った帰り引汐につれて佃島の手前まで下って来た時、突然向から帆を上げて進んで来る大きな高瀬船に衝突し、幸いに一人も怪我はしなかったけれど、借りたボオトの小舷をば散々に破してしまった上に櫂を一本折ってしまった。一同は皆親がかりのものばかり、船遊びをする事も家へは秘密にしていた位なので、私たちは船宿へ帰って万一破損の弁償金を請求されたらどうしようかとその善後策を講ずるために、佃島の砂の上にボオトを引上げ浸水をかい出しながら相談をした。その結果夜暗くなってから船宿の桟橋へ船を着け、宿の亭主が舷の大破損に気のつかない中一同一目散に逃げ出すがよかろうという事になった。一同はお浜御殿の石垣下まで漕入ってから空腹を我慢しつつ水の上の全く暗くなるのを待ち船宿の桟橋へ上るが否や、店に預けて置いた手荷物を奪うように引掴み、めいめい後をも見ず、ひた走りに銀座の大通りまで走って、漸と息をついた事があった。その頃には東京府府立の中学校が築地にあったのでその辺の船宿では釣船の外にボオトをも貸したのである。