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Japanische Klassiker mit Furigana

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かつしかみやげ

荷風随筆集(上)

永井 荷風

Lesen Sie 荷風随筆集(上) (かつしかみやげ) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.224 Zeichen · 269 Bildschirme

Aozora Bunko

そしてまた、それらの人物は作家の趣味から作り出されたものでなく、皆実在のものをモデルにしていた事も一言して置かねばならない。ここにおいてわたくしは三、四十年以前の東京にあっては、作者の情緒と現実の生活との間に今日では想像のできない美妙なる調和があった。この調和が即ちかくの如き諸篇を成さしめた所以である事を感じるのである。

明治三十年代の吉原には江戸浄瑠璃に見るが如き叙事詩的の一面がなお実在していた。『今戸心中』、『たけくらべ』、『註文帳』の如き諸作はこの叙事詩的の一面を捉え来って描写の功を成したのである。『たけくらべ』第十回の一節はわたくしの所感を証明するに足りるであろう。

春は桜の賑ひよりかけて、なき玉菊が燈籠の頃、つづいて秋の新仁和賀には十分間に車の飛ぶことこの通りのみにて七十五輌と数へしも、二の替りさへいつしか過ぎて、赤蜻蛉田圃に乱るれば、横堀に鶉なく頃も近きぬ。朝夕の秋風身にしみわたりて、上清が店の蚊遣香懐炉灰に座をゆづり、石橋の田村やが粉挽く臼の音さびしく、角海老が時計の響きもそぞろ哀れの音を伝へるやうになれば、四季絶間なき日暮里の火の光りもあれが人を焼く烟かとうら悲しく、茶屋が裏ゆく土手下の細道に落ちかかるやうな三味の音を仰いで聞けば、仲之町芸者が冴えたる腕に、君が情の仮寐の床にと何ならぬ一ふし