Japanische Klassiker mit Furigana
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きくやしき
菊屋敷
山本 周五郎
Lesen Sie 菊屋敷 (きくやしき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.620 Zeichen · 71 Bildschirme
すると次ぎ次ぎにおれも自分もと云いだして、たいていの者がおなじめに遭っていることがわかり、みんなどっと笑いだしながら、「こうなったらぜひ此処へ呼んで、いっぺんに仇討をしようではないか」などと云い囃した。志保はにわかに信じられなかった、気性だけは自分の望むほうへと育って呉れるようだし、ときどき子供には意外なほどはっきりした態度をみせることもあったが、そういう腕白なところはまるで無い、寧ろ無さ過ぎるのがもの足らぬと思っていたくらいである、――それが本当ならどんなに嬉しかろう。志保はそれが事実であるようにと祈りながら、晋太郎を呼んでその席へ坐らせた。
「やあ関守どのの御出座だな」
一人がそう云うと、みんないっせいに晋太郎のほうへ向き直って呼びかけた。
「今日はこちらが関守でござるぞ」
「この関所の切手は酒だ、酒をまいらなければその座は立たせませんぞ」
「そのうえ木刀でぽかりだ」
晋太郎は黙ってにっと微笑したきりだった。そしてかれらがなおやかましく叫びたてるのを聞いていたが、ふと志保のほうへふり返って、「お母さま、おとなというものは妙ですね」といかにも侮どり顔に云った。