Japanische Klassiker mit Furigana
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きくやしき
菊屋敷
山本 周五郎
Lesen Sie 菊屋敷 (きくやしき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.620 Zeichen · 71 Bildschirme
「いまの生死超脱のことはいちおう尤もに聞えるが、その考えは少し違うと思う、禅家が生死超脱を追求するのは個人の問題だ、すなわちおのれが大悟得道すればそれでよい、生死の観念を超越するために肉親を捨てる、まず生命の存続を絶つことに依って生の観念の転換をおこなう、それはそのとおりだ、けれどもかくして大悟の境に到達すれば、そこですでに目的は終ってしまうのだ。生死関頭を超克したことに依って、現実にはなにものをも齎らしはしない、……われわれが死を決するところはそれとは違う、大義を顕彰するということはわれわれ自身の問題ではなく、この国民ぜんぶの系体に関するのだ、われわれが生命を捨てるだけで終りはしない、われわれの子も孫もあとに続かなければならぬ、つまりわれわれのばあい生命は存続しなければならぬのだ」
「お言葉ですが、禅家の悟りが個人の問題で終るというのはどうでしょうか」
脇のほうからそう問いかける者があって、話題は宗教のほうへ変った。志保はそこでしずかに座を立った。……かれらの集りが死を問題にするところまできているということはそのとき初めて知ったのである。正しい国史を識ることは、やがて現在の幕府政体の批判に及ばざるを得ない、「忠義」