Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
なおこ
菜穂子
堀 辰雄
Lesen Sie 菜穂子 (なおこ) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.758 Zeichen · 173 Bildschirme
――そう私は思って、そのうち私達がO村ででも一しょに暮らしているうちに、それを語り合うに最もよい夕のあることを信じていた。が、八月の半ば頃になって溜まっていた用事が片づいたので、漸っとの事でO村へ行けるようになった私と入れちがいにお前が前もって何も知らせずに東京へ帰って来てしまったことを知ったときは、流石の私もすこし憤慨した。そうして私達の不和ももうどうにもならないところまで行っているのをその事でお前に露わに見せつけられたような気がしたのだった。
平野の真ん中の何処かの駅と駅との間で互にすれちがった儘、私はお前と入れ代ってO村で爺やたちを相手に暮らすようになり、お前もお前で、強情そうに一人きりで生活し、それからは一度もO村へ来ようとはしなかったので、それなり私達は秋まで一遍も顔を合わせずにしまった。私はその夏も殆ど山の家に閉じこもった儘でいた。八月の間は、村をあちこちと二三人ずつ組んで散歩をしている学生たちの白絣姿が私を村へ出てゆくことを億劫にさせていた。九月になって、その学生たちが引き上げてしまうと、例年のように霖雨が来て、こんどはもう出ようにも出られなかった。