Japanische Klassiker mit Furigana
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なおこ
菜穂子
堀 辰雄
Lesen Sie 菜穂子 (なおこ) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.758 Zeichen · 173 Bildschirme
十六
誰かが締めるのを忘れた硝子窓が、一晩中、ばたばた鳴っているような事もあった。……
或日、菜穂子は一人の看護婦から、その春独断で療養所を出ていったあの若い農林技師がとうとう自分の病気を不治のものにさせて再び療養所に帰って来たという事を聞いた。彼女はその青年が療養所を立って行くときの、元気のいい、しかし青ざめ切った顔を思い浮べた。そしてそのときの何か決意したところのあるようなその青年の生き生きした眼ざしが彼を見送っていた他の患者達の姿のどれにも立ち勝って、強く彼女の心を動かした事まで思い出すと、彼女は何か他人事でないような気がした。
冬はすぐ其処まで来ているのだけれど、まだそれを気づかせないような温かな小春日和が何日か続いていた。
十六
おようは、二月の余も病院で初枝を徹底的に診て貰っていたが、その効はなく、結局医者にも見放された恰好で、再び郷里に帰って行った。O村からは、牡丹屋の若い主婦さんがわざわざ迎えに来た。
二週間ばかり建築事務所を休んでいた明は、それを知ると、喉に湿布をしながら、上野駅まで見送りに行った。初枝は、およう達に附添われて、車夫に背負われた儘、プラットフォームにはいって来た。