Japanische Klassiker mit Furigana
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なおこ
菜穂子
堀 辰雄
Lesen Sie 菜穂子 (なおこ) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.758 Zeichen · 173 Bildschirme
十九
それとも本当に其処に何か自分をよみ返らして呉れるようなものがあるのであろうか。……
菜穂子の考えはいつもそうやって自分の惨めさに突き当った儘、そこで空しい逡巡を重ねている事が多かった。
十九
それまで菜穂子は、圭介の母からいつも分厚い手紙を貰っても、枕もとに打ち棄てて置いた儘すぐそれを開こうとはせず、又、それを一度も嫌悪の情なしには開いた事はなかった。そして彼女はその次ぎには、それ以上の嫌悪に打ち勝って、心にもない言葉を一つ一つ工夫しながら、それに対する返事を認めなければならなかった。
菜穂子はしかし冬に近づく時分から、その姑の手紙の中に何かいままでの空しさとは違ったものを徐々に感じ出してはいた。彼女はその手紙の文句に一々これまでのように眉をひそめたりしないでもそれを読み過せるようになった。彼女は相変らず姑の手紙が来る毎に面倒そうにそれをすぐ開きもせず、長いこと枕もとに置いたきりにはしていたが、一度それを手にとるといつまでもそれを手放さないでいた。何故それが今までのような不愉快なものでなくなって来たか、彼女は別にそれを気にとめて考えて見ようともしなかったが、一手紙毎に、姑のたどたどしい筆つきを通して、ますます其処に描かれている圭介の此の頃のいかにも打ち沈んだような様子が彼女にも生き生きと感ぜられるようになっ