Japanische Klassiker mit Furigana
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おちばのとなり
落葉の隣り
山本 周五郎
Lesen Sie 落葉の隣り (おちばのとなり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.877 Zeichen · 57 Bildschirme
そういうときは参吉にもわかるらしく、腑におちないような眼で、しげしげと彼の顔を見ることがあった。
「おめえどうかしたのか」と或るとき参吉が訝しそうに訊いた、「このごろなんだかようすのおかしなときがあるぜ」
「そうかな」と繁次は首をかしげた、「自分じゃあ気がつかねえがな」
だらしのないはなしだが、そのとき繁次はうれしいような気持になった。
――やっぱり友達なんだな。
心にやましいことがあればそんなことを訊きはしない、と繁次は思った。おひさとのことがやましければ、おれのようすで気がつく筈だ。おれがこんなに用心しているのに、おかしいなと勘づくのは、おれを友達として心配してくれるからだし、心にやましさがないからだ。
――いいやつだな。
あいつは思いやりのあるいいやつだ。あいつに比べるとおれはみみっちい、くだらねえ人間じゃねえか。あいつは頭もいい、自分で云うとおりきっと偉い職人になるだろう。おれなんかには過ぎた友達だ、と繁次は思った。
二十になったころから、参吉の訪ねて来るのが少なくなった。店の手があかないんだ、と云ったことがある。「島藤」では腕っこきの一人になったようすで、大名屋敷や金持の家へ、直し物にかようこともあり、休みの日にも、遊ぶより仕事をするほうが面白い、というふうであった。