Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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じゃせいのしゅうねん

蛇性の執念

大倉 燁子

Lesen Sie 蛇性の執念 (じゃせいのしゅうねん) von 大倉 燁子 (おおくらてるこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.981 Zeichen · 38 Bildschirme

Aozora Bunko

3

何しろ結婚後僅かに四日目の出来事なので、大分新聞でも騒ぎましたが、間もなく余り評判もしなくなり、新聞にも出なくなりました。それは多分御本井男爵家側の運動のためだったろうと、私は考えて居ります。

しかし文夫さんは何故死んだのでしょう?

あの人に自殺しなければならないような原因は何もないはずです。大富豪御木井男爵家の嫡男と生れ、幼い時両親に死別したというのが不幸ではありますが、頭もいいし、風采も綺麗だし何一つ不自由なく育ったばかりか、相愛の綾子さんを得て、実に幸福の絶頂にあるのではありませんか。そういう恵まれた境遇に置かれたものが、何の理由なくぽっこり自殺してしまうなんて、そんな馬鹿々々しい話がありましょうか。

その当時から、それは一つの疑問として、私には忘れられない宿題となっていたのでございます。

3

私が綾子さんを訪問したのは、お梶さんに会った翌日の午後でした。

その日武雄さんは不在でした。御木井合名会社の重役会議に出かけたとやらで、思いがけず綾子さんと二人ぎりで話せる機会が出来たのを、大変嬉しく思いました。綾子さんも同じ心持だったのでしょうか、応接室へは通さず、見馴れた懐しい彼女の居間に案内させてくれたのがまた私には嬉しゅうございました。