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Japanische Klassiker mit Furigana

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らしんのにょせん

裸身の女仙

野村 胡堂

Lesen Sie 裸身の女仙 (らしんのにょせん) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.437 Zeichen · 29 Bildschirme

Aozora Bunko

裸体で碓氷の山の中で暮した時とは違う」

「…………」

郷太郎の舌は辛辣に動きますが、お鳥は沓脱の上に崩折れて物も言いません。

「軽業の一座で、その赤い髪の中に銀色の角を植え、裸体になって、鬼の真似をして居た其方を、引取ってやったのは誰の恩だ」

「…………」

「せめて人がましい心構を覚えさせたさに、二年間の骨折で彼れ此れと仕込んだでは無いか、それに何んだ」

「…………」

「武家の妻も同様の其方が、若い男を引入れて、庭の木蔭に囁き交すとは何事だ」

「…………」

四十男の嫉妬は、煮えた油のように執拗でした。少し不養生らしい蒼い顔が、憤怒と月の光に、物凄く硬張って居りました。

「さア、成敗して取らせる、それへ直れ」

「殿様、それは、それはあんまりで御座います」

お鳥は漸く顔を上げました。此世のものとも思えぬ美しい顔が半面青白い月を浴びて、碧い眼がポロポロと泣いて居ります。

「何があんまりだ、お前のようなものを教え込もうと思ったのが間違いだ、山猿の子は矢張り山猿だ、それへ直れ」

邸の中は無人の境の如く誰も外へ出て止めようとする者はありません。主人の日頃の気象を知り抜いて居る上、溺愛されるお鳥に対して、蔽うことの出来ない反感が、用人から端女の末まで行亘って居る為でした。