Japanische Klassiker mit Furigana
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きく
親しい友人たち 山川方夫ミステリ傑作選
山川 方夫
Lesen Sie 親しい友人たち 山川方夫ミステリ傑作選 (きく) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 67.486 Zeichen · 144 Bildschirme
トンボの死
二人が知りあったのは、青年の夏休みのアルバイトからだった。彼女はそのビルの一階にある喫茶店のウエイトレスをしていた。そして青年は、同じビルの四階と五階にひろいフロアをもつ電器会社に、夏休みのあいだだけやとわれた給仕だということだった。
ときどき彼女が注文をうけたコーヒーやジュースを運んで行ったり、青年のほうでも喫茶店にやってきたりして、やがて彼女の仲間のウエイトレスたちは、彼女がちょいちょい青年のことを話題にしたがるのに気づいた。
「あの人はね、とっても可哀そうなの」
と、よく彼女はいった。
「なんでもお母さんが継母で、お父さんは死んじゃってて、弟や妹からもバカにされるし、親戚もだれもかまっちゃくれないんですって。でも苦学して、いっしょうけんめいアルバイトしながら夜間大学に行っているの。だけど、からだが疲れちゃって、やっぱり成績も悪いらしいのね。可哀そうなのよ、とっても」
相手がからかうと、彼女は真赤になって怒った。
「ひどいわ、ひどいわ。そんなんじゃないのよ。結婚だなんて、そんなこと私ができないこと、あんただって知ってるじゃない」
たしかに、彼女には母と病気の弟と、まだ小さな妹とがいた。