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Japanische Klassiker mit Furigana

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きく

親しい友人たち 山川方夫ミステリ傑作選

山川 方夫

Lesen Sie 親しい友人たち 山川方夫ミステリ傑作選 (きく) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 67.486 Zeichen · 144 Bildschirme

Aozora Bunko

はやい秋

東京に帰ってきた彼は、見違えるように逞しくなって、ひどく日焼けしていた。ほとんど毎日海で泳ぎ、鼻のあたまの皮も、三、四へんは剥けたようだという。

だが、ふしぎにその日、彼には元気がなかった。こっちがいくらエンジンをかけようと努力しても、すぐ彼の目はうつろになり、いつのまにか、窓越しにまだ早すぎる秋の空をぽかんとみつめている。

なんとか気分を変えねばならなかった。私は煙草に火をつけ、からかうようにいった。

「いったい、どうしたんだ? 彼女にでもふられたのか?」

彼は、すると怒ったような目つきで、私の顔をながめた。鼻のさきでわらった。

「……ふん。ふられたなんて。でも、ふられるほうがまだましかもわからないな。とにかく、ぼくはアタマに来ちゃったんだ」

それから、彼はゆっくりと話しだした。

今年も海はジャリでいっぱいでね。落着いて泳げるようになったのは、やはり八月の半ばを過ぎてからだったな。土用波が来はじめてね、ジャリたちはむろんのこと、もっぱら示威的に海岸を歩きまわるだけの女たちも、それにチョッカイを出すので夢中な男たちも、おっかながってほとんど海に近寄らなくなる。