Japanische Klassiker mit Furigana
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きく
親しい友人たち 山川方夫ミステリ傑作選
山川 方夫
Lesen Sie 親しい友人たち 山川方夫ミステリ傑作選 (きく) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 67.486 Zeichen · 144 Bildschirme
ロンリー・マン
私は汗を拭いた。いくら拭いても汗がながれてくる。部屋はひどくむし暑かった。
電灯がぼんやりと意識の隅で光っていた。
私は放心にちかい状態にいたのだったかもしれない。脚だけが小止みなく動いていた。目は絨毯だけをみつめ、だが、私はそこに何の考えも眺めていたのではなかった。……私は、せまい部屋の中を、さっきから歩きつづけていたのだ。
せまいとはいっても、ここは私の城だ。ポケットの上から部屋の鍵をたたいて、なんとなく私は心が落着くような気がした。
扉と窓さえちゃんと閉めておけば、厚い壁にさえぎられて、このアパートは隣りの物音ひとつ、声ひとつとどいてはこない。
だから、私はこの部屋はとても気に入っているのだ。うるさいところでは、仕事なんかできない。仕事をするのに、そうぞうしさは禁物だ。そいつだけは、どうしたっておれは許すことができない……
急に、私は自分がひどく疲れているのに気づいた。喉がかわいていた。
妻はベッドにいた。私は台所に行き、水を飲んだ。それから、机の抽出しをあけ、チョコレートを出してかじった。ベッドに腰をかけた。
――そうだ、君だけがおれの友だちだ。