Japanische Klassiker mit Furigana
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きく
親しい友人たち 山川方夫ミステリ傑作選
山川 方夫
Lesen Sie 親しい友人たち 山川方夫ミステリ傑作選 (きく) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 67.486 Zeichen · 144 Bildschirme
銀紙のめくれたチョコレートの板をみつめて、私はいった。ふと、自分のその声が、私を現実につれもどした。
――いけねえ! 私は舌を出した。忘れていた。どうしてそいつを忘れていたんだろう。いや、忘れることができていたんだろう。
手帖をみるまでもなかった。O氏がこのアパートにやってくるのは、明日の午前十時だった。O氏の、眼鏡の下でよく光る意地のわるそうな目がうかんでくる。私は、どうしても、それまでにそいつを片づけてしまわねばならないのだ。……ああ。
時間は今夜だけしかない。でも焦ってはならないのだ。よし、まず考えよう。
習慣どおり、私はベッドに仰向けに横になった。サイドテーブルに四枚のチョコレートと灰皿とを置く。アイデアはいつもこうして思いつくので、近ごろでは、こういう姿勢にならないと考えがまとめられない。
妻のからだが邪魔になった。が、私は我慢して天井を穴のあくほどみつめた。チョコレートと煙草を、交互に口にはこぶ。
要するに、問題は屍体の処理方法だ、と私は思った。もう、殺すところまでは行ってしまっている。屍体には、あきらかに他殺のやりかたで、紐が首に巻きつけてあるのだ。