Japanische Klassiker mit Furigana
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きく
親しい友人たち 山川方夫ミステリ傑作選
山川 方夫
Lesen Sie 親しい友人たち 山川方夫ミステリ傑作選 (きく) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 67.486 Zeichen · 144 Bildschirme
「君は一人?」
「もちろんよ。お友達はたくさんいるけど」
「おれも、そのお友達の一人になれそうかい?」
娘は、きらきらと目を光らせて彼をみつめ、いたずらっぽく喉で笑う。彼はそのスカートの上から、娘の腿に手をのばした。弾力のある丸い肉の感触が、熱い電流のように胸をはしる。……娘はなにもいわなかった。
よし、交渉は成立だ。と彼は思った。
「あ、そこ。そこでとめて」
そのとき娘がいった。台本を入れたバッグを膝に置いて、娘は困った顔になった。
「ごめんなさい? 今夜はちょっとまずいの。今夜は、ここに泊ることになっているの」
「ここ? ここって、君のアパートじゃないのか?」
「そうなの。先約なの。いうなればね」
気やすい口調でいい、娘は夜の鋪道に立つと「バイバイ、また今度ね。お疲れさま」と、陽気な声でいった。手をひらひらと振って、そのまま、そこだけ闇をいちだんと濃くしている細い露地の奥に、ヒールの高い脚をもつれさせるようにして駈けて消えた。
……ちくしょう。うまくスカしゃがる。
ばからしくて腹も立たず、彼は笑いながら動き出した車の背にもたれた。だが、いったん火の点いたものは、もう止めようがなかった。