Japanische Klassiker mit Furigana
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きく
親しい友人たち 山川方夫ミステリ傑作選
山川 方夫
Lesen Sie 親しい友人たち 山川方夫ミステリ傑作選 (きく) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 67.486 Zeichen · 144 Bildschirme
「手放す気はないのですか?」
「まったくない」
言下に、ボーモンはいった。「……ただ、言っておくがね、サンバード君。私は、なにもその壺を、美的な関心や骨董品としての見地から持っていたいんじゃない。私にはそんな目や趣味はないし、さっき私のいったことはみんな本当なんだからね。しかし、私は絶対にそれは手放さんよ。君が地球と同じだけの金塊を積んできても無駄だ。私は、死んだら棺の中にその壺を入れて行くのだ。それは、私の権利なのだからね」
……まさかと思っていたことだったが、ボーモンはその言葉を実行した。三月後、彼は心臓麻痺で急死したが、遺言により白い壺は棺の中に入れられ、小肥りのその遺体とともに荼毘に付されてしまった。サンバードの手に数葉の写真だけを残して、壺は永久に手のとどかない場所へと運び去られたのである。
ただ、もう一つボーモンの残したものがあった。それは「トロブリアンド諸島には、こんな壺はざらにころげている」という言葉である。――サンバードは地図をしらべ、太平洋の南、ニューギニアの東北方に、その名の群島をみつけた。彼は、くりかえしそこに無数のあの白い壺の幻影をながめた。