Japanische Klassiker mit Furigana
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おやばかにゅうどうき
親馬鹿入堂記
尾崎 士郎
Lesen Sie 親馬鹿入堂記 (おやばかにゅうどうき) von 尾崎 士郎 (おざきしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.182 Zeichen · 24 Bildschirme
という言葉をたどって一つ一つ思いだしてゆくうちに、ふと「俵」という字がうかんできた。
俵(タワラ)ならば、おそらく何でもかんでも詰め込むために存在するものだから、先ず文字づらだけからいえば、成長しても私のような出鱈目な生活をするような男にはなるまい。私は「俵士」と命名することに心できめた。
これで赤ん坊と私とのあいだに現実生活のつながりが一つ生じたわけである。そうきめてから改めて漢和大辞典を引くと、「俵」の項目には、「ワカチアタエル」という解釈がついている。意味はただそれだけで、詰め込むという語義はどこにもなかった。
しかし、そうだとすると、いよいよ俵という字には複雑な感情が、からみついてくる。「ワカチアタエル」のだから、こいつは愛嬌をふりまくことにもなるし、能力や人情をわかちあたえることにもなるであろう。どっちにしても威勢のいい文字であることだけは確かである。私はそう自問自答すると、急に赤ん坊に対する肉体的な親近感をおぼえ、父親らしい厳粛な態度で話しかけたい気持になってきた。
子供の出生を祝う手紙は友達から幾つとなく届いていたが、その一通である吉川英治氏の手紙によって、私は金環蝕の意味をはじめて知った。