Japanische Klassiker mit Furigana
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おやばかにゅうどうき
親馬鹿入堂記
尾崎 士郎
Lesen Sie 親馬鹿入堂記 (おやばかにゅうどうき) von 尾崎 士郎 (おざきしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.182 Zeichen · 24 Bildschirme
と母と姉を、お前が少しでも憐んでやったり、感謝したりすることのできる年齢に達したときに読ませようと思って書き綴っておくものである。お前が生れたのは昭和二十三年(一九四八)五月九日であった。父も母もお前の生れることを予期していなかった。それは十六年間、二人のあいだには子供の生れるような何の兆しもなく過してきたからである。母の腹が少しずつ大きくなってきたのは今年の春二月か三月頃だったが、私たちの家族は大抵三人で、まい晩、井田邸の風呂に入れてもらうことになっていたので、お前のお母さんのお腹が少しずつふくれてくるのが父である私にはよくわかった。私たちは、その腹の中に赤ん坊が入っていることを予期することができないほど小さかった。それが私たちを不安にさせ、口に出してこそいわなかったが、私たちは見えざる運命に対して、どんなに神経質になっていたか知れないくらいである。お前がうまれるときの一種の奇蹟的ともいうべき雰囲気と状態については、このおぼえ書きのどこかの頁に、もっとくわしく書くときがあろうと思うが、お前こそは、天下から授かった子供であった。五月八日は金環蝕で、お前の生れたのは九日の午前一時である。