Japanische Klassiker mit Furigana
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ていそうもんどう
貞操問答
菊池 寛
Lesen Sie 貞操問答 (ていそうもんどう) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.240 Zeichen · 399 Bildschirme
八
八
「貴女が謝ることはない。僕は、ちっとも貴女に謝ってもらおうと思って来たんじゃない……悪いのは、僕だもの。失策をした僕としては、勝手な云い草だけれど、僕に過ちがあるにしろ、貴女が一度も僕を詰らずに、冷然としているんで、僕は何だか貴女が恨めしくなってしまったんだ。貴女とは、お互に随分好きだなんて、思っていたことが、全然僕の独り合点だったんだと思った。すると、何から何まで厭になってしまって……」
そう云いながらも、美沢は自分の云いたい気持が、ハッキリ掴めなくなったように……自分に対しても、新子に対しても、もの足りなさや、苛立たしさが、湧き返って来たように、綺麗な眉や眸を、高い鼻の上へ、きゅっと寄せてしまった。
だが、美沢が何を求めているか、何のために苛立たしくなっているかは、新子にはよく分っていた。つまり、自分の愛である。どんな形式でもいいから変らざる愛を示す一つの言葉である。それが、分っていながら新子は、素直にそれを与えることが出来なかった。
美和子のために、新子は美沢をあきらめてしまったはずであった。美和子と醜い争いをするのが嫌で、美沢を美和子に呉れてやったつもりでいた。