Japanische Klassiker mit Furigana
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ていそうもんどう
貞操問答
菊池 寛
Lesen Sie 貞操問答 (ていそうもんどう) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.240 Zeichen · 399 Bildschirme
夫人は、少し気落ちがして、最後の抽出しにはいっているピストルや、双眼鏡や、使わない琥珀のパイプなどを、空しく味気なく眺めながら、いつもながらキチンとボロを出さない良人の態度が、机にまで示されているような気がして、妙な苛立たしさを感じていた。
夫人は、その時少し疲れを覚えて、腰をおろしたが、ふと先刻二番目の抽出しに、はいっていた良人の小切手帳のことを思いついた。あらゆる問題は、金銭に関係している。そう思うと、夫人は良人の小切手帳をとり出して、バラバラめくりはじめた。
夫人は、月々経常費として、二千円ずつ良人からもらっている。もっとも、臨時の買物などする時は、別であるが。だから、良人の小切手帳は、その二千円の支出を除けば、全部良人の身辺の費用に当てられたはずである。八月から九月にかけての日付を探っていると、控えの方に何の名目も書かれずに振り出された金額が、ザッと計算して、八千円余に上っている。
三
もしや、新子へとは、すぐ疑ったが、しかし、金額があまりに、大きいので、良人がそんなに新子へと思うと、ちょっと信じがたかった。
しかし、姉の演劇運動の後援をするくらいでは、新子にはどんなことをしてやっているかもしれず、その酒場も、案外良人が出してやったのかも測りがたい。