Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ていそうもんどう

貞操問答

菊池 寛

Lesen Sie 貞操問答 (ていそうもんどう) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.240 Zeichen · 399 Bildschirme

Aozora Bunko

四

こんな機会に、もっと真面目に、根本的に姉に話してみようかと新子が考え出したとき、階下から母親が高い声で、

「新子さん。ちょっと階下へ来て下さいな。」と叫んだ。

「はい。」と、新子は返事をした。

一家中、何かにつけて、新子だった。いかなる場合でも、一番深く考えている者が苦労するように、母も姉も妹も、みんな新子に背負いかかっているのだった。

四

新子は、姉に自分達の生活について、何かいってやりたい気持を抑えて、階下へ降りてみると、上で気がつかない内にそこの玄関へ、父の存生中から、出入りしている重松という日本橋の時計屋が来ていた。四、五年前までは、よく恰好な出物があるといって、売り付けに来たのであるが、去年あたりからは、母が生活費のたしに、時々売り払う品物を買いに来るようになっていた。

茶道具のわきに、新子の見馴れない金の大きい指輪が、二つ置いてあった。

母は子供のように秘密主義で、子供にまでかくして、色んなものを持っていたのだが、この指輪も、母がとって置きの秘蔵品だったのかと思うと、新子は悲しかった。だが、母はニコニコしながら、

「重松さんにね、こんな指輪、どうせ安いんだろうと思って見せたら、金は今とても、値がいいんですってね。